美しい数式を見たような|容疑者Xの献身
さて、今日紹介する10年前の作品は、容疑者Xの献身です。
ドラマにもなったり、映画にもなったりした、ガリレオシリーズの
3作目です。
非常に評判が良く、作者の東野圭吾も
正統派ミステリーとしては僕の最高傑作です。
と言っています。これは期待が高まりますな。
■あらすじ
天才数学者でありながら不遇な日日を送っていた高校教師の石神は、一人娘と暮らす隣人の靖子に秘かな想いを寄せていた。彼女たちが前夫を殺害したことを知った彼は、二人を救うため完全犯罪を企てる。だが皮肉にも、石神のかつての親友である物理学者の湯川学が、その謎に挑むことになる。ガリレオシリーズ初の長篇(Amazonより)
■感想
(ネタバレ全くないですよ!)
東野圭吾自ら、「最高傑作」というのもよく分かります。
作者自身、どの辺が最高傑作と考えているのか分からないですが、自分として
この本はすごい!!と思いました。それは、
それぞれの要素が、それぞれの要素に違和感なく高度に結びついている
というところなんです。
読み終わった後に思いました。
それぞれの結びつきが完璧なんですよ!!
普通はミステリーって違和感だらけですよ(笑)。
例えば「読者を驚かせるトリックを入れたい」となると
「犯人の行動」に無理が出たり。
「恋愛の要素も入れたい」となると「登場人物に対する共感」が
失われたり。
ミステリーって、結構「あちらを立てたら、こちらが立たず」っていうのが
多いと思うんです。
なのに、この容疑者Xの献身というのは、それぞれが違和感なく強く
結びついているんですよね。
まるで、美しい数式を見たように「最高傑作」だと自分としても感じましたよ。
(いや、美しい数式って何?っていう感じですが。笑)
実際、この本を読んで私が感じたこととしては
・驚くべきトリック
・トリックの妥当性(実現可能か?犯人以外も犯人が予想したように
本当に動くのか?)
・登場人物の共感性。共感しにく登場人物はいないか?(主人公・犯人・重要人物)
・登場人物の行動の自然さ(主人公・犯人・重要人物)
・恋愛の要素(物語としての出来)
・再読の楽しみ(1回目だと気づかない点が多い)
これらの要素が高度に結びついていて「うわっ!!すごっ!よく完成させたな!」
と驚いてしまいましたよ。
ちょっと、ハードルを上げてますけど(苦笑)その要素ごとの高度な
結びつきを読後に感じてみてはいかがでしょうか?
容疑者Xの献身オススメです!!